KPOP界隈でよく聞く7年契約。
なぜ7年なのか。
そして、再契約が難しいのはどうしてなのか。
推しの再契約を身をもって経験したファン目線をまじえて解説します。
- KPOPアイドルを推していて7年目が来るのが不安
- KPOPアイドルは長く活動できないのか心配
KPOPアイドルの契約について
現在の韓国の芸能事務所は、韓国の公正取引委員会が定め、2009年7月から法施行された「大衆文化芸術人標準専属契約書」というテンプレートに基いて契約書を作成しています。
これは、2009年7月以前までは契約年数や内容に関する具体的なルールがなく、15年や17年などの超長期契約が主流となっていたことが背景にあります。
事務所有利の契約内容が問題化
2009年、日韓で社会現象になるほど大きな人気となっていた東方神起のメンバーの3人が、収益の分配等を含めた不公正な待遇を訴え、事務所に対して「専属契約効力停止仮処分申請」を行いました。
さらに、日本で爆発的な人気を得ていたKARAも、2011年に事務所を訴えました。
2010年に日本で発売したアルバムの売上が13億円に上ったにもかかわらず、当時の月給は日本円で1万4,000円ほどだったとの内容に、私も大きな衝撃を受けたのを覚えています。
これによって、KPOPアイドルは事務所から不当な扱いを受けていることが日本でも話題となりましたが、事務所側に都合が良すぎる契約内容は、実は東方神起以前から韓国では問題視されていました。
KPOPアイドルの元祖といわれているH.O.Tは、当時国内で公式ファンクラブ会員数が78万人、非公式ファンクラブ会員数を入れると158万人という巨大ファンクラブを有していましたが、印税はアルバム1枚あたりメンバー一人に対して日本円で1円。一方で、個人的な事情で事務所との契約を破棄するのであれば、事務所に莫大な違約金を支払う契約が結ばれていました。複数のメンバーがこれを不当として2001年に裁判を起こし、結果的にグループを脱退しています。
訴訟を起こすグループが相次ぐ事態を重く見た政府が2009年に法整備を行い、アイドルや歌手の権利の確保に動いたというのがこれまでの流れです。
契約年数が「7年」である必要はない
法律によって、芸能事務所は所属するアイドルや歌手と、最長で7年の専属契約しか結べないことになっています。
ただし、あくまでも「長くても7年だからね」という話なので、事務所とアイドルで話し合いがつけば3年でも5年でもいいわけです。
多くのKPOPアイドルが最長の7年で契約するのは、韓国の独自の育成システムが関係していると思われます。韓国では事務所の練習生になると、宿舎での生活費やレッスン費用などは基本的に事務所が負担するため(※デビュー後に「精算金」として事務所に支払いますが)、生活を含めて文字通り事務所にお世話になっている状態。
アイドルたちにとっては、デビューできるかどうかもわからない自分を育ててくれた事務所には恩義があり、デビュー後はできるだけ長く契約して恩返ししたいという気持ちがあるはず。一方、事務所としても当然ながら一日でも長く働いてくれたほうが嬉しいので、法律上、最長となる7年で契約合意が大半になるようです。
こうした状況などにより、多くのアイドルがデビュー(契約)から7年目に一度目の契約更新を迎えます。
アイドルを「7年」続けられる保証はない
韓国では一年間に100~200組の新人アイドルがデビューするといわれています。
そのなかから、知名度を得て音楽番組に出演できるのはほんの一握り。
多くは一度も日の目を見ることがないまま、ひっそりと消えています。
芸能事務所は慈善事業ではないので、利益が出ないグループを長く抱えていられません。
とはいえ、契約は7年あるのですから、とりあえず7年は安泰で活動ができるのでは?と応援しているファンなら思いますよね。
しかし、売れないアイドルには仕事はなく、仕事がなければお金は稼げません。
多くのメンバーが「このまま契約満了まで事務所にいても食べていけない」となり、アイドルと事務所の双方で話し合いがもたれ、契約満了を待たずして解散という道を辿ります。
これは裏を返せば、7年目の再契約を迎えたということは、推しが7年間活躍し続けてくれたということ。
実はそれ自体がとてもありがたいことなのです。
メンバー全員で再契約をするのは想像以上に難しい
再契約(契約更新)の話し合いは、契約満了日の1年ほど前から始まるグループが多いようです。
15才でデビューしたら22才、17才なら24才。
幼な心で飛びこんだアイドルの世界で成功し、夢を叶えられた。
だけどこのままでいいのかな?と先の人生を憂う年齢でもあります。
「歌やダンスが大好き。応援してくれるファンも大切にしたい。でも、俳優にも挑戦してみたい。」
「学生時代の同級生が結婚して子どもを育てているのを見て、自分もそんな幸せを手にしたくなった。」
少年・少女から大人へと変われば、誰だって自分のこれからの生き方に悩み、迷うはず。
それはアイドルも例外ではありません。
再契約はせずに事務所を移籍したり、事業を興して芸能界からは引退する人が出てくるのは、その人の人生を考えたらやむを得ないことなのかもしれません。
SEVENTEENの場合
[#SEVENTEEN NEWS]
— SEVENTEEN Japan (@pledis_17jp) July 19, 2021
PLEDIS Entertainmentからのお知らせ
「SEVENTEEN 13人全員、再契約締結のご案内」https://t.co/RCBX7StmQg
SEVENTEENは私の推し。
推し歴もうすぐ6年。
好きになってから、今日までずっと幸せでしかない癒しの存在です。
そんなSEVENTEENは、2021年7月19日に全員が現事務所と再契約しました。
SEVENTEENよりも先に、メンバー全員が事務所と再契約を果たした諸先輩グループはいます。
しかし、SEVENTEENは中国籍、アメリカ国籍を含む多国籍かつ13人の大所帯グループ。
世間一般的には、全員そろっての再契約は厳しいだろうと予想されていました。
でも、ファンは違っていました。
SEVENTEENはメンバー同士の絆が深く、お互いがお互いを思い合っています。
だから大丈夫だと思っていたのです。
現に大丈夫でした。
契約満了日より1年も早く、全員が再契約に至りました。
きっとすんなり全員が「再契約をしてグループ活動を存続させよう!」と決まったのだと、ファンは思っていたのですが・・
再契約の発表からしばらくして、メンバーから語られた真相は意外なものだったのです。
- 「ソロ活動の願望もあったが、結果的にチームでの活動を選んだ」
- 「アイドル以外の人生があるのではないか?と悩んだ」
- 「グループの活動は自分の人生ではあるけど、個人の生き方としてはどうなのか」
- 「思いを口にしてしまったら、メンバーとの間に誤解が生まれるのでは?と思ってなかなかいえなかった」
- 「気心の知れたメンバーやスタッフと、収益率や取り分などのお金の話をしなければならないのがつらかった」
- 「メンバーの意見調整に8~9ヶ月かかった」
SEVENTEENのメンバーの仲の良さは、業界に関わる多くの先輩・後輩が知るところ。
そのため、全員が合意に至るまでは決して平坦な道ではなかったと知られたときは、あのSEVENTEENでさえ再契約はスムーズにいかなかったのかと、多くの人を驚かせました。
メンバー全員の再契約は単に「仲の良さ」で叶うものではないことを、推しから学びました。
誤解をしてほしくないのは、たとえ再契約に至らなかったからとしても、必ずしもメンバー同士の仲が悪いとはいいきれないということ。
再契約をしないと誰かがいったとき、新たな道を一番に誰よりも応援してあげたいと思うのは、近くで悩み苦しみ続ける仲間を見ていたメンバーだと思うからです。
近くにいるからこそ、メンバーの新しい門出を誰よりも祝ってあげたいと、脱退を応援してくれるケースもあるはずです。
再契約後の契約年数はそれぞれ
再契約年数は2~3年が多く、比較的短いスパンで次の更新がやってきます。
ちなみにSEVENTEENは、メンバーのスングァンが「5年だよ」ってファンに教えてくれたので5年らしいです。
再契約しなくても・・
それで2度とアイドルをしている推しが見られなくなる、わけではありません。
メンバーそれぞれが自分のやりたいことを叶えられる事務所に移籍しながらも、グループ活動は存続させ、定期的にアルバムを出したり、コンサートをしている例もあります。
契約年数だけじゃない!アイドルの行く手を阻むもの
事務所との仲も円満で、メンバー同士も絆が強く、ファンを第一に思って活動を続けたいと思っている。
こんなグループであっても、KPOPの世界で生きるのは難しい現実があります。
兵役
韓国の徴兵制度によって男子は満18歳で徴兵検査対象者となり、19歳になる年に兵役判定の検査を受けます。
これにより多くは20代前半に兵役に就きますが、KPOPアイドルの場合はデビューの大事な時期と一般的な兵役時期が重なるため、入隊期限ギリギリまで延長する人がほとんどです。
2018年5月の兵役法の改正で、満28歳までの入隊が義務となりました。
入隊はアイドル側が「この日に入りたい」といって叶えられるものではないのですが、兵務庁からの通達に対し、延長申請を行うのは可能です。
ですが、アイドルグループは年齢が近いメンバーで構成されることが多いので、1人が兵役に行くとあとから次々という事態に陥りやすく、事務所との契約によっては再契約はせずに満了となるケースも。
兵役によってアイドル活動が中断ではなく、終了となってしまう可能性もあるのです。
年齢
美容大国の韓国は、外見や年齢を日本以上に気にする傾向があります。
アイドルが事務所と契約できる最長年数は7年ですが、女性アイドルグループの場合、多くの事務所は5年契約としています。
男性アイドルに多い女性ファンは、ティーンエイジから20才を超え、成熟した推しにも魅力を感じる人が比較的多いのに対し、女性アイドルに多い男性ファンは年齢を重視する傾向が強いのがその理由と言われています。
ただし、価値観が変わりつつある現在は、少女時代を始め、2022年に全員が再契約をしたTWICEなど、20代後半にさしかかっても現役で活動を続けているグループがでてきました。
まとめ
- 多くのKPOPアイドルは事務所との契約を7年(契約できる最大の年数)としているから
- 10代から20代へと年代が変わる人が多く、自身の将来を考えて再契約に至らないメンバーが出る可能性があり、結果としてグループが解散することがあるから
- 10代でデビューすると再契約の前に兵役に就くタイミングが来て、グループの存続が難しくなるから
私自身、推しのSEVENTEENが再契約するまでは、どんな結末が待っていようともメンバーが決めたことを受け入れるつもりでいましたが、やっぱり怖かったですね。
アイドルを続ける覚悟をしてくれた推しがいるからこそ、私は今日も幸せなんだということを今一度噛みしめながら、これからも応援していきたいと思います。
K-POPアイドルは日本でコンサートを開催しますが、やはり本場・韓国は熱気が違いますし、ファンサービスも日本のとは異なります。私の推し活仲間も年齢を問わず、韓国のコンサートに参戦している人が多いですし、コンサート関係なく、推しの生まれ育った国を体感したいと思う人が多数。
また、ファンと直接やりとりができるツールでは韓国語を使うため、覚えておくと推しと会話ができてしまうことも。
韓国語教室には複数のグループで講義を受けるところもありますが、短期間でスキルアップするなら個別レッスンがおすすめです。
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